『フロイト伝 / カトリーヌ クレマン』

フロイト伝

フロイト伝
Catherine Cl´ement 吉田 加南子

青土社 2007-10
内容(「BOOK」データベースより)
医学や心理学のみならず、すべての文化をぬりかえた精神分析の父フロイト。フランスを代表する女性伝記作家が、その生涯と理論を一気に語り下ろす。豊富な写真と個性的な語り口で、フロイトと20世紀に関心あるすべての人に贈る、読んで楽しい入門書。
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うーん?アマゾンのあらすじには入門書ってあるけど、全然入門書じゃないと思う。

とにかく文体が独特。訳が悪いのか元からそうなのか、非常に詩的というか「あなたはそうだったのですね、教授」みたいな問いかけ文章だった。フロイトの学術的な内容にはあまり触れず、彼の生い立ちを時代別に語るわけでもないのですが、「人間フロイト」を語った本ではありました。

ただ私は久々に心理学系でも読むか~というノリだったので、がっかりしましたけど。

フロイトの性理論とでもいうのでしょうか、何でもそういうもの(口唇期とか男根期とか)に結びつける内容をいま読んだらどう思うかなと思っただけだったんですけど、他の本読まないとわからんですな。しかしフロイト先生も、妻の妹(義妹)との関係の疑いがあったり、コカインを使っていたりなんて世俗的な内容には笑った。

本はイマイチだったが、写真がたくさんあったのは面白かった。意外にフロイトやユングが格好よかったわ。

『「親子で学んだ」ウィーン・シュタイナー学校 / 広瀬 牧子』

「親子で学んだ」ウィーン・シュタイナー学校 「親子で学んだ」ウィーン・シュタイナー学校
広瀬 牧子
ミネルヴァ書房 1993-12
内容(「MARC」データベースより)
色とりどりの絵で埋まったノート、点数がつくテストはなく、制服も体罰もない学校-シュタイナー学校。シュタイナー教育をしている夫と家族4人で、ウィーン・シュタイナー学校で学んだ日々をつづる。〈ソフトカバー〉*
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大昔にみんちゃんと青山あたりでシュタイナーに関する展覧会に行った記憶があるんだけど、どうだったけ?ルドルフ・シュタイナーという人はちょっとオカルト入ってる人なんだと思うんですが、彼については長らく興味があって、良い機会なので教育学あたりから手を出してみた。

うーん!!この学校が近くにあるんだったら私が行きたい!この歳でも小学生からやりなおして行きたい!!それぐらいに面白い教育方針だ。創作・表現ということに重きを置いてる。芸術、というと高尚に聞こえるけど、子供が持っている創造性(想像性でもいいけど)を重要視してるんだなあ。

「手先の不器用な人は不器用な知性の持ち主であり、柔軟性を欠いた理念や思考の持ち主でもある。指先をうまく動かすことのできる人は柔軟な理念や思考の持ち主であり、物質の本質に入り込むことのできる人である」とシュタイナーが言ってるそうで、学校では手仕事(ハンドアルバイト)という授業を行っている。これは手芸や木彫り、衣服作りなどを行う授業で、生徒が一年をかけて色々と製作していく様はすごいと思った。不器用は不器用な知性の持ち主かー。耳が痛い。

個人的には非常に面白い教育方針だと思ったけど、こういうのって親のエゴなのかしらとも思った。日本で暮らしていくなら日本式の教育のほうが子供には何も考えないでいいのかもしれん。なんて考えるのは狭すぎる考えだろうか。

なんにせよ教育というのは「人を作る」という点で面白いなあと思いました。

『好きなことには集中できるのに、仕事になると集中できない人へ / 双田 譲治』

好きなことには集中できるのに、仕事になると集中できない人へ 好きなことには集中できるのに、仕事になると集中できない人へ
双田 譲治
あさ出版 2007-01-18
内容(「BOOK」データベースより)
整理整頓、遅刻、スケジュール管理…こうした問題で悩んでいるあなたは、もしかするとADD(注意欠陥障害)と呼ばれる、脳の障害に陥っている可能性があります。この障害は先天的なもので、残念ながら根本的に治療することはできません。しかし、心配は無用です。ADDには「創造性豊か」「異常なほどの集中力」といった、欠点を大きく補うほどの「才能」があります。こうしたADDの「才能」をうまく活かすことができれば、「仕事ができない脳」を「仕事ができる脳」へと変えることができるのです。
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題名で選んだんだけど、ADDの本だった。

ADDに関しては前にも読んだけど(これはADHDだけど)、たぶん私はこの傾向がある。以下、チェックリストから引用。

  • 物事を計画すること、必要なものを前もって準備しておくこと、金銭管理やスケジュール管理が苦手
  • 遅刻や忘れ物が異常に多い
  • やらなければならない物事をダラダラと先送りしたりする。また、やらなければならない仕事に、すぐに取りかかることができない
  • たくさんの計画が同時進行していて、どれもなかなか完成しない
  • すぐに気が散り、集中力がない。他人と話しているとき、すぐ心がさまよってよく聞いてないことがある
  • 衝動的な行動をすることがある。欲求不満に耐えられない
  • 危険なこと、刺激的なこと、リスクのあることを好む
  • 決められた手順に従うのが苦手、あるいは指示に従うことができない
  • 気分が変わりやすい。気ぜわしくしているのを好む
  • 思いついたことを考えもなしにしゃべることがある。人が話し終わらないうちにしゃべり出してしまう。失言が多い

判定結果として、7問以上YESだとADDの可能性がある、5問以上だとADD的人間の可能性がある、とのことでした。

まあ誰しもそういう面があるとは思うんですけど、こういう話もあるよということで。ADD的な有名人をあげたり、向いてる仕事や仕事時の実践方法などを紹介していた本でした。GTDも薦められていてやっぱりなあというところ。

ふーん、というレベルでいいんじゃないでしょうか。私は薬を飲んでまで治さなきゃいけないわけではないと思っているのですが、とりあえず人の話は聞こうと思っております(笑)

『沈黙の春 / Rachel Carson』

沈黙の春 沈黙の春
Rachel Carson 青樹 簗一
新潮社 2001-06
内容(「MARC」データベースより)
自然破壊にとどまらず人間の生命の核、遺伝子直撃へと環境問題が加速度的に複雑化、深刻化しつつある今日、その危機を40年近く前にいちはやく指摘し、孤立無援のうちに出版された名著「生と死の妙薬」(64年刊)を新装。
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100冊のなかの一冊。

今では当然のこととなっているけど、農薬の怖さを1962年に指摘しているこの本は、環境学・生物学・化学などを学ぶ人は読んでおいて損はない一冊だと感じた。

私も気軽に殺虫剤を使ってしまう傾向があるんだけど、怖いのはそれが残留して残るということ。草木がそれを取り込み、さらに上の捕食者が取り込み……と生の連鎖が続いて濃度があがり、最後に私たちにもそれが取り込まれてしまうということ。自分が知らず知らずのうちに、自分の撒いたものに汚染されてしまうというのはなんとも皮肉だ。

多くの例を用いて書かれているが、科学本としてはデータの引用などが少々あいまいな気もした(例の引用元は大事だよね?)。あと女性が書いているからか少々センチメンタルかなあと。自分の好みとして、科学本は淡々と事例と結果が述べられているのが好きなので。

DDTがものすごく危険な物質に書かれており(実際そうなのかもしれないけど)、本の解説で「DDTはアフリカではマラリア予防に使用され効果をあげた」というくだりを読み、ただただ悪いだけの化合物ではなかったのかなとも思った。

しかし生物界はすごい。人間がAという生物を殺そうとすると、Aと敵対していたBが爆発的に増えてBによる被害が起きてしまう。また、Aのなかでも化合物に適応した種が生まれ、以後その殺虫剤が効かないパワーアップした種となってしまう。いたちごっこだな。人間が他の生物をコントロールするのってやっぱり傲慢なのだろうか。

中国産の農薬問題が取りざたされている昨今だけど、ほんと化学農薬は怖いと思った。やっぱり少量でも体内に残留するのが怖いよ。いつか体内目盛りあふれちゃうのかもしれんしなあ。

面白い……というわけではないけど、考えさせられる一冊でした。

『学問はおもしろい / 選書メチエ編集部』

学問はおもしろい― 学問はおもしろい―”知の人生”へどう出発したか (講談社選書メチエ)
選書メチエ編集部
講談社 2001-03
内容(「MARC」データベースより)
忘れられぬ本との出会い、人生を変えた外国体験、異分野からの転身。哲学、歴史、文学、社会科学、自然科学など、各学問のパラダイムを変えた23人の「知の達人」たちが綴る、学問への旅立ち、格闘、魅惑。
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題名でチョイス。

いわゆる「学者さん」がどうしてその道に進んだか、なんてことをつらつらとしゃべっているんだけど、とりとめのない本だった。自分の好きなことをしゃべっている感じ。

このなかに自分の好きな学者さんがいれば面白いのかもしれない。でも数ページだからわざわざ買うほどのことでもないな。

『「あと5キロ」をやっつけろ!! / 池田 暁子』

「あと5キロ」をやっつけろ!!池田のダイエット大作戦 「あと5キロ」をやっつけろ!!池田のダイエット大作戦
池田 暁子
文藝春秋 2009-02-26
内容紹介
写真を見て自分のムッチリ具合に「私こんなに丸かった?」と驚愕した池田。なかなか落ちない「あと5キロ」をすっきり抹殺しよう!
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ここんとこ終電帰りで疲れているので、軽く読めるものをチョイス。池田さんのマンガ。

この人、けっこう好きなんですよー。あと5キロ痩せれたらいいんだけどねー。そのまえに体脂肪が死にそうに多いんだけどねー。運動すればいいのはわかってるんだけどねー。

内容はよくあるダイエット本。こんにゃくを使ったレシピだったよ。特に目新しい参考情報はない。

ちなみに近日、私の体重グラフが下降線を辿っているのは、ダイエットをしているわけではなく、単純に仕事で夕飯が食べられない日々が続いているからです(帰宅後の午前2時にマック持ち帰ってビール飲んだりしてるけど!)。

今日は今から出社。

『リアル鬼ごっこ / 山田 悠介』

リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫) リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫)
山田 悠介
幻冬舎 2004-04
内容(「BOOK」データベースより)
全国500万の「佐藤」姓を皆殺しにせよ!―西暦3000年、国王はある日突然、7日間にわたる大量虐殺を決行した。生き残りを誓う大学生・佐藤翼の眼前で殺されていく父や友。陸上選手の翼は、幼い頃に生き別れた妹を探し出すため死の競走路を疾走する。奇抜な発想とスピーディな展開が若い世代を熱狂させた大ベストセラーの改訂版。
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いやあ、すごい。違う意味で度肝を抜かれた。

この本、ベストセラーになったんでしょ?えええ……日本の小説のレベルってこれでいいわけ?! これじゃトンデモ本だよ。酷評の話は知っていたんだけど、一応、読まないと文句も言えないと思ったのだが、やっぱり無駄だったわー。中高生の書く小説だ。私の想像するとおりの展開でしたよ。

まわりの大人たち(出版界)にどう思っているか聞きたい。一部の人たちがわかる高尚な文学なんていうのも嫌いだけど、これを出版して流通させるというのもよくわかんない。売れればいいのか?

昨今のケータイ文学に思うところと同じだ。ちなみに「恋空」は途中まで読んで挫折。「あたし彼女」はあまりの出だしに吹いて読めてない。

あれ、そう考えると、まだ読めた本だったのかなあ??

『磁力と重力の発見〈1〉 / 山本 義隆』

磁力と重力の発見〈1〉古代・中世 磁力と重力の発見〈1〉古代・中世
山本 義隆
みすず書房 2003-05
内容(「MARC」データベースより)
「遠隔力」の概念が、近代物理学の扉を開いた。古代ギリシャからニュートンとクーロンにいたる科学史空白の一千年余を解き明かす。西洋近代科学技術誕生の謎に真っ向からとりくんだ渾身の書き下ろし。
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これもvamoくんからのご紹介でした。このへんの記事参照。時間はかかりますが、お勧めされた本はメモってるので読む気はあるのよ!ちなみに100冊のなかにも入ってた。

さて、この本は磁力などを科学的に説明している本かと思っていたのだけど、それらが解明される歴史を辿っている本でした。それが半端ない追い方です。古代から始まると、思想家とは切っても切り離せないのですね。どこかで見かけた思想家がチラホラと登場して、昔は哲学も科学も垣根が無かったんだなあとあらためて実感した。現代って細分化されすぎだよね。それぐらい深くなっているのかもしれないけど、いろんな分野を渡り歩く偉人がいてもいいのにね。

昔は磁石の力が魔術的に思われていたのが面白かった。なんでも妻の不貞などが分かるらしいよ(笑) なるほどなあ、目に見えない「引く力」というのは、いろいろな解釈がされたんだなあ。後半でようやくコンパスらしきものが出てきたけど、まだまだ解明には時間がかかりそうだった。

山本先生渾身の全3巻。なるほど、これは読み応えがあります。時間をかけて現代までたどり着いて、私が常々謎に思っていた磁場・重力がどのように出来ているかを理解できればいいんだけど!

『シュレディンガーの哲学する猫 / 竹内 薫』

シュレディンガーの哲学する猫 (中公文庫) シュレディンガーの哲学する猫 (中公文庫)
竹内 薫
中央公論新社 2008-11
内容(「BOOK」データベースより)
ある日作家のもとに現れた、哲学者の言葉を語る不思議な猫。「語の意味とは何か?」「”私”は誰?」―哲学の諸問題を、猫と作家が案内する。サルトル、ウィトゲンシュタイン、ハイデガー、小林秀雄…古今東西の哲学者、思想家たちの核心を紹介。時空を旅する猫とでかける、「究極の知」への冒険ファンタジー。
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哲科時代友人Mから、「にゃんこに癒されたい~」というメッセージと共に紹介された本。私は読んだことなかったので読んでみました。まぁMとはその後、猫派か犬派かの話しかしなかったんだけど(笑)。

かわいい本で、入門書的なものでした。

いろんな哲学者のエッセンスを紹介してましたが、私が気になったのはちょこちょこっと書かれた彼らのプライベート。ハイデガーが三角関係にあったとはなあ。サルトルは有名だけど。ウィトゲンシュタインの姉が画家クリムトのモデルになってたのはどっかで聞いたことあった。

やっぱり近代になると、単語が思想を表すので原文で読めるともっとわかりやすいのかもしれない(その言語の能力があっての話だけど)。

ウィトゲンシュタインはやっぱりもう少し知りたい。ソシュールは難解だと有名だが、このあたりもチャレンジしてみたい。しかし、原書はやっぱり朝から通勤電車で読むのには尻込みしてしまうよ。

2009年上半期ベスト5

うーむ、働いたら読むペース落ちるかと思ったんだけど、けっこう良いペースで進んでますな。

というわけで、50冊到達記念として今年もにょんた的上半期ベスト5を選んでみた。

  1. 『日本人の英語 / Mark Petersen』
  2. 『夜と霧 新版 / ヴィクトール・E・フランクル』
  3. 『走ることについて語るときに僕の語ること / 村上 春樹』
  4. 『100年の難問はなぜ解けたのか / 春日 真人』
  5. 『自分探しが止まらない / 速水 健朗』

 1位と2位は迷うところなんだけど、実用的という点を取って英語本を。これを知る・知らないでは随分と英語との関わりが違うと思った。続編もあるようだから読んでみようかな。

2位はやっぱりこれまた名作を。薄い本だけど「人とは何か。人はなぜ生きるのか」という問いに対する(著者の)答えが凝縮されているように思う。

3位の村上さんはやっぱり文章がよかったので。とにかくランナーとしての村上さんの姿勢、「少なくとも最後まで歩かなかった」という言葉が頭から離れない。

4位は数学本。とにかくポアンカレ問題は、それに巻き込まれた数学者の人生含めて目が離せない。理論はまだ全然理解できないんだけど、この本は入門編として非常に良いと思った。

5位は布団をかぶって転げまわったから(笑) ハズカシーなあ、もう。

世の中に書籍はたくさん出版されていて、私が人生で読める冊数は決まっていて、「いっぱい読みたい本あるんだけどなあ……!」と焦ったりするけど、なにかを知るということはとても楽しいことだと、つくづく思っています。

これからも面白い本に巡りあえますように!