『ポルトガル、ここに誕生す』

20130910.JPG友人の試写会の券にお誘いいただき、行ってきました。

ポルトガル発祥の地をテーマにした4本のオムニバスなんだけど、久々にわからない映画で首を捻ってばかりだったわ!そのなかでも一番わからなかったのが、Pedro Costaという監督の作品。元兵士が亡霊を話す、みたいな内容だったんだけど、本当に意味不明。前衛作品というのだろうか。とりあえずわからなすぎて疲れた。人間は物事に意味づけしようとして脳が疲れて怒りを覚えるのだな、ということを実体験した。

まだまともだったのは、アキ・カウリスマキ。監督の名前はどこかで聞いたことがあるんだけど、よくは知らない。台詞がひとつもなく、バーテンダーの一日を追ったような内容。淡々としてるんだけど、まあいいかなと。

あとはポルトガル語だったので、ああそうだ。ポルトガル語ってこんなんだった、とちょっと学習気分で観ていた。

『攻殻機動隊ARISE -GHOST IN THE SHELL-』

20130701.JPG会社帰りに攻殻機動隊の新作を観にいった。

新宿バルト9は指定席なのが楽でよろし。

内容について。コーネリアスの音楽は攻殻にはちょっとゆるい感じがした。もっとぐわぁーっとがーっとしたほうが、盛り上がるのであうと思うんだけど。

素子の声が意外に違和感なかったので良かった。あと時間も1時間にしては、内容もまとまっていたし。4部作だそうなので、続きがでたらまた観にいこうっと。

『シュガーマン 奇跡に愛された男』

20130405.JPG「これは現代のおとぎ話だ」とどこかの批評にあったような気がするけど、まさしくそんな感じ。

彼、ロドリゲスは1970年代にデビューするもアメリカでは全然売れずにシーンから姿を消す。しかし、南アフリカではアパルトヘイトのなか一大ムーブメントを巻き起こしていた。彼についての情報は全く無く、噂ではステージで銃自殺をしたとのことだった……。

結末は言わないほうがいいと思うんですけども、このドキュメンタリーはかなり良かった。こういうことってあるのか。何かのきっかけで人生ってずいぶんと変わるんだろうけど、ブレない自分を持っている人というのはとても素敵に見える。

彼の音楽も良かった。確かにボブディランに被る部分はあるんだけど、もうちょっと庶民(というか下層部?)寄りな気もした。そして出てくるモータウンのおっさんがマフィアさながらに悪そうな人で、70年代モータウンのイメージが変わった。

なんでアメリカで売れなかったのに、南アフリカであんなに売れたのか。音楽は普遍なのかそうじゃないのか。彼は南アで売れてアメリカで売れないことはどう思ったんだろう、などとつらつらと考えた。

『negative:noting / 全てはその一歩から』

20130316.JPGスイスの旅行会社の日本担当として働いていたトーマスさん、震災以降キャンセルが相次ぎ、仕事が激減した。「欧州で、日本全体が放射能に覆われたといった誤解が広がった。汚染地域は限られていて、日本のほとんどの場所は安全で健全だと示したかった」と思い、北海道から鹿児島まで歩いて縦断し、旅のブログを世界に発信した。そんな彼のドキュメンタリー映画。

強いメッセージ性も無ければ、出てくる人も日本の田舎の人。写真とそのエピソードと、いくつかのインタビュー。でもその何でもない感じが、「普通の人の善意が集まって出来た」と思わせるような映画だった。

彼が福島に行く途中のタクシーのなかで運転手と話した内容に 「いまどき、他の国のためにそこまでやってくれる人、日本人でもいないよ!すごいねえ~」「そうですか?でも私にとっては自然なことです」というのが真髄だったか。外国の人が日本のためにここまでやってくれることが純粋に嬉しい。また外国の人だからこそ、彼に見えてる日本の良さというものがあったのかもしれない。

題名の意味は、彼がブログに書いていた文章から。良いことと悪いこと。雨が降っても、膝が痛くても、「今日も悪いことは無かった」という彼のポジティブな考え方も素敵だった。

positive: 人の善意ってあるんだなあと、”ほっこり” とした気持ち

negative: nothing

 

『二郎は鮨の夢を見る』

20130306.JPG銀座の地下、10席ほどの鮨屋「すきやばし次郎」の店主、小野二郎さん87歳を追ったドキュメンタリー映画。ミシュラン三ツ星を5年間連続で取得した彼の鮨への情熱は?……といった内容。これ、海外の監督が撮ってるんですが、なにかの予告編で見て、外国の監督でお鮨?と気になったので観てきました。

75年間鮨を握り続けている二郎さん。まだどうやったら美味しくなるかを、それこそ夢に出てくるまで考えているらしい。「自分の仕事を本当に好きにならないとダメだよ」と言う二郎さんの生活全てを、仕事に向けているような姿勢が印象深かった。職人て毎回同じ味・テンションで握れないといけないんだね。毎日決まった時間に決まった車両に乗って職場へ向かうというエピソードも、どこか職人だと感じた。

「続く」というのもひとつのテーマとなっていて、二郎さんが続けていたことが、二人いる息子さんに引き継がれていく。その誇りと難しさ。なるほど。

ナレーションがなく、出演者の語りと音楽と緩急つけた映像が美しかった。次々と出される鮨がどこかダンスのような。

魚が旨いと書いて「鮨」。予想はしていたけど、美味しいお鮨が食べたいと思った映画でした。

『天のしずく / 辰巳芳子 いのちのスープ』

20121123.JPG辰巳芳子さんという料理家のドキュメンタリー映画。

この方は脳梗塞で倒れ、嚥下障害になったお父さんの介護のためにスープを作り続けたそうです。そのスープの持つ力と、食料を作る生産者、土の力などをテーマにしたドキュメンタリー。

やはり、「食べる」ことって「生きる」ことだと思うわけです。

何の気力もわかない、面倒くさい、死にたいと思うときって食べる気力すらない。そのときの一杯の温かいスープ(おつゆもの)の力って生命(いのち)と面してる気がする。そんなスープを丁寧な手仕事で作る姿は、どことなく感銘を受けた。

途中、ハンセン病の方が友人のためにスープを作るシーンがあったんだけど、私はこういうシチュエーションがあったら、私の好きな人たちにどこまでできるのかなと思った。「愛は人のなかにあるのではなく、人との間にあるのですよ」という台詞があったけど、あいだにあるもの、ねえ。

食べ物と愛について思いを馳せながら、銀座アンジェリーナのモンブランを買って帰りました(期待したほどではなくて残念!)。

『ボブ・マーリー / ルーツ・オブ・レジェンド』

20120919.JPG水曜日サービスデーで1000円でした@角川シネマ有楽町

レゲエアーティスト ボブ・マーリーのドキュメンタリー。144分もあったので、眠くならないか心配だったんだけど、いやー、これがなかなか面白かった。

時系列どおり、生まれた場所からガンで亡くなるまでを、周囲のインタビューや、昔の映像などで構成している。なるほど、ずいぶんと宗教(ラスタファリズム)が背景にあったんだ。だからあんなに人類的な愛を歌えるんだなあ。

しかし驚いたのは、21歳で結婚し、そのあと7人の女性と付き合い、11人の子供がいたということですよ!自分は西洋の制度に縛られない、と言い放つボブ……。しかし、シャイで孤高のカリスマはそんな振る舞いでも、女性から恨まれていない。すごいね。しかしその話を知ったあとで、名曲「No woman, No cry」を聴くとちょっと感じが変わるってもんだ。

しかし彼が36歳の若さで亡くなったのは残念。もし生きていたら、どんな世界になっていたんだろう。

『Pina / ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』

20120307.JPGヴィム・ヴェンダース監督のブエナビスタソシアルクラブ というドキュメンタリー映画が好きだったんですが、同じ監督が撮ったドキュメンタリーということで観に行った。

ピナ・バウシュという舞踊家を題材にした3D作品で、私はいつピナが出てくるのかと待っていたんだけど、内容は彼女が監督を務めるヴッパタール舞踊団の踊りがメインでした。そこに過去のピナの映像を挟む感じ。

しかし、こういう機会でもなければ、この系統のダンスなんて全く観ないので、ある意味面白かった。「観るものの五感を揺さぶる」とあるんだけど、本当にそう。快だけじゃなくて、気持ち悪いとか、落ち着かないとか、そういうのを感じるダンス。こういうのをコンテンポラリーというのだろうか。

語彙が足りないので、うまく表現できないのだが、印象に残る作品ではありました。理解できる/できないは置いといて。あと3Dメガネが重すぎて疲れるので、もうちょっと改良されないかなあと思う。

GET LOUD @武蔵野館

20110922.jpgレディースデーを活用。音楽ドキュメンタリーを観た。

内容は、U2のジ・エッジ、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジ、ザ・ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトという3人がそれぞれギターについて話してセッションをするのです。本当はセッションがメインだったろうに、セッション時間が非常に短くて「…気が合わなかったのかな」と心配した。

しかし、この二人を相手にするとU2のエッジの影が薄くなるなー。ジミーペイジはさすがの貫禄という感じ。なんか人当たりも良さそうにニコニコしてて、若いときを乗り越えての今だろうな、と。ジャック・ホワイトはいいねー。まだギラギラしているというか、いろいろ鬱屈したものをぶつけているというか。ロックな感じ。

3人のセッションで、エッジがコードを間違えて「あ、オレずっとこれで弾いてた」というのを、他の二人が「マジで?!」と驚いていたところが一番笑った。

小さな哲学者@武蔵野館

20110817.jpgミニシアター系映画。

これはフランスの幼稚園で哲学を教える、というドキュメンタリーだったんだけど、これがなかなか面白かった。

さすが仏というべきか。6歳児が愛について語ってました。「きみと僕はもう別れたんだから、そういう関係じゃないんだよ」みたいな(笑)。

しかし哲学の根本的なことを思い出した。世界をなぜなに?で始まって、「自分で考える」ことが基本なんだよなあ。昔のエライ人の難しいことをなぞるわけじゃなくてさ。*もちろん大抵のことは昔の人が考えており、それを普遍化したのが哲学”学”だと思ってるけど。

子供たちの可愛さもさることながら、自分の頭で世界に「なぜ?」「なんで?」を問いかけるということを思い出した良いドキュメンタリーでした。

幼稚園からこのように考える子供たちのその後が知りたいな。