『自己流園芸ベランダ派 / いとうせいこう』

自己流園芸ベランダ派 自己流園芸ベランダ派
いとう せいこう
毎日新聞社 2006-09
出版社/著者からの内容紹介

(略) 面積や日照時間が限られる都会の狭いベランダでは園芸書の知識は通用しない。著者は10年以上のベランダー経験をもとに自己流で植物の世話をし、試しては枯らし、枯らしては試すを繰り返す。しかし、その自由さこそがベランダーの醍醐味なのである。たとえ枯らしてしまってもいいのだと著者は言う。それも植物の生命のひとつのサイクルであり、そもそも植物の生命をコントロールしようとすること自体が無理なのだから……。(略)
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話題を少し変えて近日読んでた本など。

いとうせいこうさんの「ボタニカルライフ」は読んだ記憶があるんだけど、それの続編みたいな感じ。都会のマンションで植物を育てるのは、戸建の人とは違ってまさしくベランダー(ベランダで植物を育てる人)なのだよね。そしてベランダーは枯らすことを恐れてはならない、という彼の意見に、肩肘張らずに園芸界へ飛び込める気がした。

彼が植物を育てる記録に写真を撮るのではなくて、「書き残す」という姿勢をとっているのも興味深い。彼はそれが一番記憶に残るんだって。なぜその花の姿に感じ入ったか、根の張り方に驚愕したか、芽ひとつに狂喜したか。実際、彼の文章からは、植物への愛憎と格闘とユーモアが感じられて、読みながらくすりとする。

春だから何か鉢物を欲しいなあと私も思いました。えぇ、私も緑の指の持ち主ではないので、途中で飽きたり、枯らしたりするんですけどね。何か生命の勢いというのを感じたい気分なのです。

*そういや、いつもの友人と ボタニカ学習帳という記録をしてたこともありました。興味は前からあるんだよね。興味は。

『ずっとやりたかったことを、やりなさい。/ ジュリア・キャメロン』

ずっとやりたかったことを、やりなさい。 ずっとやりたかったことを、やりなさい。
ジュリア キャメロン Julia Cameron
サンマーク出版 2001-04

内容(「MARC」データベースより)

毎日の繰り返しに、埋もれた自分。そろそろ起こしてみませんか? 実験と観察からなる単純な科学的アプローチによって、創造的に生きる方法を明らかにし、自分のいろいろな側面との出会いを導いていく。
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なんで読んだのか忘れましたが、「創造性を取り戻す12週間のプログラム」というのに惹かれたんだっけな。ちょっとスピリチュアルな本です。

創造力って(not imagine)、人間独特のものだと思うのです。何かを作ることって楽しいですよね。文章を書いたり、料理したり、プログラムしたり、そういう創造力のことなんだけど。訳本なので、アーティストと訳していたけど、誰でもアーティストなわけで、そのアーティスト性を引き出すワークショップの内容でした。

その内容とは、モーニングページとアーティストデート。モーニングページというのは、毎朝真っ白なノートに3ページ、思いを書き綴るというもの。何でもいいんだって。途中で「なんでこんなことしてるんだろう」と思うらしいけど、それでも続けていくと自分との対話が深まって感性が鋭くなってくるとか。アーティストデートというのは、自分のなかのアーティストな部分とデートをしようというもの。一週間に2時間ぐらいそういう時間をとって、展覧会や水族館とか音楽などを体験する。

モーニングページによるアウトプットと、アーティストデートでのインプットで、感受性を高めていくということなのかね。

ちょっと面白そうだから、ノートを買おうと思ったんだけど(←そこから?!)朝早く起きてノートに向かう時間を作るのが無理かなあと思ってやめた。でもアーティストデートというのはなんかいいなと思いました。

『9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方 / 福島 文二郎』

9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方 9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方
福島 文二郎
中経出版 2010-11-25
出版社からのコメント

昨年、過去最高益を出したディズニーランドでは、9割のスタッフが正社員ではなく、アルバイトでアトラクションを運営しています。
しかし、アルバイトでも最高のサービスを提供し、ディズニーランドは他の遊園地とは異なる、そして不況にも負けないブランド価値をつくりあげていますが、その背景には徹底したディズニーの社員教育システムがあります。(略) 「社員教育」をテーマにディズニーの人材教育方法を紹介しながら、一般の会社でも活用できる社員教育のコツとポイントを解説します。
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誰か私と一緒にディズニーランドに行きません?!

この本を読んだ理由は別に私がマネージメントをやるというわけではなく(私は自分の性格が直らない限り、マネージメントは無理だと思ってるし、誰かの補佐というのが自分にはあっていると思ってます)、単純にディズニーのスタッフってアルバイトであれだけのクォリティを保っているの?と題名に驚いたから。

私自身、今の職場って派遣なんですけど、自社じゃないのってやっぱりモチベーションが下がるわけです。いくらがんばったところで自分の会社じゃないし、なにか先につながるわけでもないし。それがアルバイトならなおさらだと思うんですが、ディズニーランドのスタッフって「やるきの無さ」を感じないし、みんなキビキビ動いてるし、楽しそうだし、すごいなあと思うわけです。その仕組みが書いてありました。

それは先輩がどのように後輩を指導するかということにあったんだけど、アルバイトの人から現場を変える提案が出てきてそれが実行されている職場というのはすごいと思う。後輩を見て、認めて、褒めたりダメだししたり、指針を示してあげるというのは基本的なことなんだろうけど、人が育つというのはそういうところからなんだろうなあ。

あと「人は先輩からされたことをそのまま後輩にする」というようなことが書いてあって、そのとおり…と思ってしまいました。たとえば、手順のわからない部署に配属されて自分が自力で仕事を覚えたとします。次に入ってきた人に、自分が教えるとすると「これはマニュアルないんだけど、まぁ数こなせば覚えられるからー」とか言ってしまうわけです。負のスパイラルですね。反省だな。

企業としてのディズニーという側面を捉えられたのが面白かったです。これは本当にx年ぶりにディズニーランド行きたいなあと思いました。企業努力としてどのようなことをしているかという視点でみてみたい。

でもさすがにここは一人じゃつらいのが難しいところなのよね。夢の国だからなあ……。

『赤毛のアン / ルーシー・モード・モンゴメリ』

赤毛のアン (集英社文庫) 赤毛のアン (集英社文庫)
ルーシー・モード・モンゴメリ 松本 侑子
内容(「BOOK」データベースより)

ちょっとした手違いから、グリン・ゲイブルスの老兄妹に引き取られたやせっぽちの孤児アン。初めは戸惑っていた2人も、明るいアンを愛するようになり、夢のように美しいプリンス・エドワード島の自然の中で、アンは少女から乙女へと成長してゆく―。愛に飢えた、元気な人参あたまのアンが巻き起す愉快な事件の数々に、人生の厳しさと温かい人情が織りこまれた永遠の名作。
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割と子供時代に本は読んでたはずなのに、どこをどう思い出しても赤毛のアンを読んだ記憶がない。

なぜだか私は赤毛のアンが嫌いだったようで。今思えば、 「いいこ」ではないアン(彼女はおっちょこちょいだし癇癪もちでもある)や、”女の子っぽいこと”(女の子の友情とか)がダメだったのかなと思ったり。私は男の子になりたかったのです。

しかし友達に「赤毛のアンいいよ。なんかね、”女の子~!”っていうのがキラキラしてる」と言われ、「えー、児童文学だよねえ?」と反発しましたが、実際読んだら、す ご い よ か っ た。

たぶんこの歳になったから見えるものが大きいと思う。アンの自分の村の自然に対する空想癖や(森や湖に名前をつけたり)、ダイアナとの友情とか、そのころの自分にはすごい大問題なこととか(アンの場合は赤毛ね)、そういうのに一喜一憂しつつ、でも前向きに楽しく人生を暮らしていくアンは、人間としてとても魅力的に描かれている。なんかね、「良かった探し」じゃないけど、それに通じるような、森や湖や家や人がそこにあって幸せみたいな。

私も会社への通勤路に名前つけたりしようかなあ。「輝く橙の道」(中央線)とか「地底人のシェルター」(地下通路)とか。……うーん、センスないな。

失ったものを思い出させてくれるキラキラした作品でした。

『「イタい女」の作られ方 / 中村 うさぎ』

「イタい女」の作られ方 自意識過剰の姥皮地獄 (集英社文庫) 「イタい女」の作られ方 自意識過剰の姥皮地獄 (集英社文庫)
中村 うさぎ
集英社 2009-12-16
内容(「BOOK」データベースより)

大した容姿でもないのにモテ自慢巨乳自慢をする女。彼女らにイラッとくるこの激越な感情はなんなのだろう。身の程をわきまえない、「自画像」の見えていない「イタい女」にならぬため我々は自虐的なまでに「姥皮」という魔法のアイテムをかぶる。結婚とは果たして恋のゴールなのか?枡野浩一との巻末対談では、男と女の自意識のありかた、非対称性を描いて抱腹絶倒。
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確か大昔にたいりさんのコメントで姥皮という単語が出たんですよね。そんで、中村うさぎの近況を知って、いったいこの人はどこまでいってしまったんだろうと思ってみたので、読みました。

単なる変わった人なのかと思っていたんですが、これがなかなか鋭いなあ。

我々(女性)は「ババア」「デブ」「ブス」を恋愛市場において価値の低い女と認定し、彼女らが普通の女性と対等に張り合おうとすることを許さないわけです。「自分より価値の低い女」たちの「勘違い」を攻撃することによって、自分の自意識を確保しようとかなんとか。

「イタい女性とは」を分析しながら、最後は「陳腐なこと」と前置きしつつ普通の意見を言ってたのが意外だった。「恋愛的存在としての魅力ではなく、人間としての魅力が必要」って。

私もイタい人にならないようにせねば。客観性って大事だね。

『思考のレッスン / 竹内薫 対決 茂木健一郎』

思考のレッスン 思考のレッスン
竹内 薫
講談社 2010-10-13
内容(「BOOK」データベースより)
小学校で落ちこぼれだった薫少年は、筑波大付属高校へ進学して東大の法学部に入学するが、物理学の面白さに目覚め、物理学科へ学士入学。そこで盟友・茂木健一郎と出会う。ところが二人とも大学院の試験に失敗し、それぞれの道を歩み始めることに…。一芸に秀でるのではなく多芸であったからこそ、いまの自分たちがある。彼らの発想の原点を赤裸々に語り明かす。凸凹コンビの人生指南。
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マズイマズイ。一月5冊の目標ですが、やっぱり読書習慣が抜けてるようで、読めてません。

さて、これは竹内薫さんと茂木さんの対談本みたいなもの。そういえば竹内さんの本を読んだことがありましたが、この方は法学部に行ってから物理学部に行ったんだね。茂木さんはメモってないんだけど先日読んだ脳をやる気にさせるたった1つの習慣という本はなかなか面白かった。茂木さんは物理学部出てから法学部に行ったという、二人とも文系と理系を経験してる人からの目線でものの考え方を書いてる本。

面白いのは、理系の考え方。

レストランに入って、セットのメニューを頼んだらウェイトレスがこういいました。
「このセットには、コーヒーまたはケーキがついてます」
このとき注文できるのは? 

とありましたけど、文系だとどっちか一方な感じですが、理系は「コーヒーもケーキも両方」という3つめの解釈があるということ(もしくはどちらも選ばない、とかね)が書いてあってね。あぁそうか。これは確かに理系の考え方だなと思いました。いわゆる真理値表だ。その3つ目の選択肢を考えられるというのはずいぶん違うよね。

そんな面白い!という本ではなかったんですが、ルネッサンス人(多岐の分野に渡って知ってる人)がこれから求められるというのは、そういう時代が来てるのかもなあと思ってみたり。

『自分の小さな「箱」から脱出する方法 / アービンジャー・インスティチュート』

自分の小さな「箱」から脱出する方法 自分の小さな「箱」から脱出する方法
アービンジャー インスティチュート 金森 重樹 冨永 星
大和書房 2006-10-19
出版社/著者からの内容紹介
身の周りの人間関係は実はすべて自分が原因で引き起こしていることに気づかせてくれる『自分の小さな「箱」から脱出する方法』。本書を読み進めるうちに家庭や職場での人間関係を深め十分な成果を出せる環境を作る方法を学べる。全米ビジネス書ベストセラー
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自己啓発とは違うとは思うんですが、人間関係を考える本です。

自分が3秒で沸騰する鳥頭なのは自覚してるんですけど、どうも今年は人間関係がうまくいかなくて、これって周囲が悪いんじゃなくて私が悪いところもあるんだろうなあと思って、この手の本を読もうかなと。

トラブルを起こしているときは自分が箱のなかに入っているんだよ、というところはなるほど。箱のなかに入っている自分からは、外をうまく見られないんだよね。

ちょっと長いけど、引用しておこう。

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『気がつけばドッキョロージン / 澁澤 幸子』

気がつけばドッキョロージン 気がつけばドッキョロージン
澁澤幸子
じゃこめてい出版 2010-09-30
内容紹介

由緒正しい(結婚歴なし)独居老人である著者が、長年培ってきたノウハウと独居老人の心構えを楽しく教えてくれるエッセイ。一人であること、独りになるということをポジティブにとらえて、明るく元気にシングルライフを迎えるための一書。
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ははは。

いろいろと心積もりは用意したほうがいいのかなーと思いまして(笑)

結構面白かったです。色んなカタチがあるよねえ、生き方もさ。

『ゴマの洋品店 / 公文 健太郎』

ゴマの洋品店 ゴマの洋品店
公文 健太郎
偕成社 2010-08-05
内容紹介

ネパールの街、バネパを舞台にしたフォトエッセイ。農村から街へお嫁にいった少女、ゴマを追いかけていっしょに街へと出た著者が、ゴマの洋品店にあつまる人びとの姿をえがく。謎のお茶屋さん、プラム売りのおばさんたち、料理屋のなかよし兄妹、鳩を追う少年……。変わりゆくネパールの街で、力強く生きる人々の姿があたたかい視点で描かれる。
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たまたま手に取って、ぱらぱらと読んだフォトエッセイ。

著者の方も書いてたけど、移動だけの旅じゃなくて、一つに長くというのがいい。ゴマの結婚前、結婚後、出産後の生活を写しているのだけど、これは著者とこの家族に友情があるから撮れる写真なのかなと思った。気取ってない文章も好感が持てる。

何気ない生活の一部を切り取った写真と文章なんだけど、そういうなかに「人」というのが居るんだと思う。そういう生活の積み重ねが人生なのかなあと思ってみたり。

『栽培植物と農耕の期限 / 中尾 佐助』

栽培植物と農耕の起源 (岩波新書 青版 G-103) 栽培植物と農耕の起源 (岩波新書 青版 G-103)
中尾 佐助
岩波書店 1966-01-25

内容紹介

野生時代のものとは全く違った存在となってしまった今日のムギやイネは、私たちの祖先の手で何千年もかかって改良に改良を重ねられてきた。イネをはじめ、ムギ、イモ、バナナ、雑穀、マメ、茶など人間生活と切り離すことのできない栽培植物の起源を追求して、アジアの奥地やヒマラヤ地域、南太平洋の全域を探査した貴重な記録。

ブログもお久しぶりです。

あれ?こないだも9月の三連休にメモってたのか。10月の三連休もヒマしてました。替わりに本読んでました。秋はインプットするわ!

さて、久々に100冊に戻りました。うーん、面白い。

文化=cultureという単語は耕す(ラテン語 colere) という意味から転じて「心を耕す」で文化になったとか。人間の文化というのは、農作物をいかに得るかというところから始まってるんですね。そして、今もし、小麦や麦が野生種しかなくなってしまったら、人間は何千年もかけないと取り戻せないというところに驚いた。そうか、私たちは効率よく食べ物を得る=生きるために、農作物に品種改良を何千年もかけて行ってきたんだなあ。

栽培植物というのは、このように起源が分けられるらしい。

  • 地中海農耕文化(ヨーロッパのほう) …… 大麦、エンドウ、ピート、小麦
  • サバンナ農耕文化(アフリカのほう) …… ササゲ、シコクビエ、ひょうたん、ごま
  • 根菜農耕文化(アジアのほう) …… さとうきび、タロイモ、ヤムイモ、バナナ
  • 新大陸農耕文化(北南米のほう) …… ジャガイモ、菜豆、かぼちゃ、とうもろこし

なるほど、今でもその文化が出てるなあ。

あとそうかと思ったのは、バナナに種がないこと。株分けで増えるらしい。これも品種改良(というか突然変異を育てたのかな?)の結果なのかしら。そういえばバナナが絶滅の危機とどっかで見た気がする。

米文化の地域にはコメで作るお酒があるらしいんだけど、コメを食べるインドでは米主体のお酒がないんだって。あー、言われてみれば。なんでだろう?

以上、やっぱり関係ない世界の話にも面白いものが多いと再認識しました。