『走りながら考える / 為末 大』

走りながら考える

走りながら考える
為末 大
ダイヤモンド社 2012-11-23

内容(「BOOK」データベースより)

Twitterフォロワー12万人!考えるアスリート”為末大”強い自分の作り方。勝利、挫折、限界…もがき苦しむなかで気づいた本当に大切なこと。

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「夢を持ちなさい。たぶん叶わないけど」

為末さんは元陸上競技選手、ハードルで世界三位になった人です。彼のTwitterでの発言を見ていて、この人は私と近い考え方をするなあと思ったので、読んでみたら本当に似ていた。そして私がもやもやと思っていたことを言語化してくれており、「ああ、そういうことかもな」と腑に落ちた。

人によってはネガティブと捉えるのかもしれない。しかし、現実というものを直視して、そのなかで自分がいかに闘うか(生きるか)ということを、一種悟りに似た観点から淡々と語る内容は彼のアスリート人生を通して得られたものだ。

いろいろと面白いことが書いてあったけど、今の自分にはこれだ、と思ったのは 「残念ながらほとんどの人生は負けで終わる」ということ。何を勝ち負けとするかもあるけども、競技の世界では一位以外は敗者ともいえる。そしてその一位は瞬間的である。とすると、ほとんどの人間は一位にはなれない。私は特に勝ち負けがあった人生ではなかったけど、この歳になると見えてくる着地点というのがあって、決して自分はスーパーマンではなく、何でも出来るというわけではない現実が見えてくる。彼はそれを「緩やかな挫折」と評していたけど、「人生は、その緩やかな挫折を受け入れることであり、人生、最後は負けで終わる」というのに、ああそうかもなと思った。自分はこの挫折感と現実を摺りあわせる時期にいるんだろうな。

ただ、負けと幸福感は別のところにあるという話が続くので、負けの人生だから不幸せというわけではないのです。そうなんだよなー、うんうん。