『シッダールタ / ヘルマン・ヘッセ』

シッダールタ (新潮文庫) シッダールタ (新潮文庫)
ヘッセ 高橋 健二
新潮社 1971-02
<内容紹介(裏表紙より)>
シッダールタとは、釈尊の出家以前の名である。生に苦しみ出離を求めたシッダールタは、苦行に苦行を重ねたあげく、川の流れから時間を超越することによってのみ幸福が得られることを学び、ついに一切をあるがままに愛する悟りの境地に達する。
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すごい久しぶりにヘッセを手にとった。

今年も3ヶ月終わろうとするのに一冊も本読んでいないし、今読んだらどう思うのかしらというのもありまして、まずは薄い本からと。これ読んだことなかったのかなあ、まったく記憶がなかった。ちなみに仏陀の若いときの話を小説化したのかと思ったけど、仏陀そのものではなく同じ名前の、でも「生きるとはなにか」を求道してる人の話。

身分の高いバラモンに生まれながら、そこには答えがないと、沙門という何も持たない苦行者になり、遊女カマーラから愛の享楽を学び、お金持ちの事業者となり、またそれらを全て捨てて川の渡し守となり、川の流れから学ぶ。これはすごい求道者だなあ。聖俗あわさって人間っぽい。

これが答え、というのがわかったわけではないのだけど、気になったフレーズをいくつか。

「(略)あなたの内部には静かな避難所があって、あなたはいつでもそこへ入って、そこを家とすることができます。私もそうすることができます。だが、そういうところを持つひとはほとんどありません。実際は誰でも持ちうるはずなんですが」

「(略)さぐり求めるとは、目標を持つことである。これに反し、見いだすとは、自由であること、心を開いていること、目標を持たぬことである。おん僧よ、おん身はたぶん実際さぐり求める人であろう。おん身は目標を追い求めて、目の前にあるいろいろなものを見ないのだから」

悟りの境地、「いっさいをあるがまま愛する」というのは俗人の私には難しいなあと思いつつ、でもまだ人生長いからわからんわなーとも思ってみたり。

やっぱり本を読むのは考える機会が与えられて良いね。