外国語上達法 (岩波新書 黄版 329) |
確かAmazonの「この本を読んでる人はこんな本を読んでます」的なところから選んだはず。
至極まっとうなことが書いてある本でした。語学の天才ではない著者が、どのように語学と取り組んだかを書いてあります。時々出てくる著者の先生方の素晴らしさを語るエピソードが素敵。先生が彼に宛てた手紙(ポーランド語)をポーランド人が見て、「これを書いたのは誰か。完璧だ」なんてエピソードとか。
習得方法というより、もっと大きな意味で語学を学ぶということを論じているのが良かった。例えば会話が出来るということが「お元気ですか?」「日本に何年いるんですか?」「好きな日本食はなんですか?」ということが言えるということではなく、TPOにあった話題が出来るということ。その人の知識のバックボーンが会話の面白さとなるわけだよね。
あとレアリア(チェコ語)という単語も興味深かった。これは「ある時期の生活や文芸作品などに特徴的な細かい事実や具体的なデータ」ということらしい。具体的にいうと、「お茶」という単語があるけど、私たちは緑茶を思い出し、英国はミルクティー、ロシアだったらジャムをいれたりという、お茶という単語に対してその文化が持っている背景がある。ちょっと長いけど引用。
そもそも言語というものは、それ自身が目的ではなく、伝達を始めとするいくつかの機能を果たすために存在している。すなわち言語は「自目的」的ではなく「他目的」なものである。そして言語はそれだけで単独に使われるのではなく、必ず何かある状況の中で使われる。この状況は、いろいろな情報を言語に与える。したがってこの状況がよく分かっていれば、その言語の理解が容易になる。そして、その言語が伝えている内容が具体的に把握されらばその言語の理解がより容易になることは自明のことである。ここに、レアリアが大切な理由がある。
そうだったそうだった。言語って結局、伝達するためのものなんだよねー。時々忘れそうになるよ。