『疑似科学入門 / 池内 了』

疑似科学入門 (岩波新書) 疑似科学入門 (岩波新書)
池内 了
岩波書店 2008-04
内容(「BOOK」データベースより)
占い、超能力、怪しい健康食品など、社会にまかり通る疑似科学。そのワナにはまらないためにどうしたらよいか。また地球環境問題など、科学の不得手とする問題に正しく対処するにはどうしたらよいか。さまざまな疑似科学の手口とそれがはびこる社会的背景を論じ、一人ひとりが自ら考えることの大切さを説く。
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もともと疑似科学に興味を持ったのは、「水からの伝言」からでした。水に良い言葉をかけると美しい結晶ができて、そうじゃないと汚い結晶が出来るというやつなんだけど、「いやいや、水は生きてないじゃん!?」と驚いた覚えがあります。なんでそれを正しいと思うのかなあ、なんて考えたりしたんだけど、私も非科学的なことが「あるといいなあ」と思うほうなので、何をして疑似科学と言うのかなと思って読みました。

三つのタイプに分類しているのが面白い。

  1. 第一種疑似科学 — 占い系・超能力・超科学系などの精神世界系
  2. 第二種疑似科学 — 科学を誤用したもの。物質世界のビジネスと強く結びついている
  3. 第三種疑似科学 — 複雑系であるがゆえ科学で証明しづらいもの。環境問題、遺伝子組替など

このなかで第一種はわかるとして、二番目・三番目が難しい。近年知って驚いたんだけど、マイナスイオンなんて科学的な根拠がないらしい。家にマイナスイオンドライヤーあるんですけど……。あとゲルマニウムも医学的な証明はされてないようだ。ゲルマニウム温浴ってなんか温まりそうなイメージあったんですけど。

第三種の複雑系というのは、いろんな要素が絡み合っているから一概には言えずに証明も難しいらしい。地球温暖化問題にしても温暖化してるのは事実だし、二酸化炭素排出量が上がっているのも事実だけど、それらの因果関係の測定が難しい(人間の二酸化排出量がどこまで温暖化に影響を与えているのか測れていない)。異常気象を温暖化のせいというのも、その異常気象が歴史上初めてのことなのか、それとも数十年に一度の頻度で起こるのかなどを区別する必要がある、等。

読後して思ったんだが、私たちは科学の専門家ではないので、メディアから受け取った情報を判断するしかない。それが正しいかどうかというのは自分の判断基準で選ぶしかないんだろうなあ。いまや雑誌やテレビが正しいという時代でもないしね。そのためには自分の知識の底辺を広げる必要があるのかなと考えたりしました。