『テロリストのパラソル / 藤原 伊織』

テロリストのパラソル (角川文庫) テロリストのパラソル (角川文庫)
藤原 伊織
角川書店 2007-05
内容(「BOOK」データベースより)
ある土曜の朝、アル中のバーテン・島村は、新宿の公園で一日の最初のウイスキーを口にしていた。その時、公園に爆音が響き渡り、爆弾テロ事件が発生。死傷者五十人以上。島村は現場から逃げ出すが、指紋の付いたウイスキー瓶を残してしまう。テロの犠牲者の中には、二十二年も音信不通の大学時代の友人が含まれていた。島村は容疑者として追われながらも、事件の真相に迫ろうとする―。小説史上に燦然と輝く、唯一の乱歩賞&直木賞ダブル受賞作。
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2007年とありますが、元は1995年に講談社から発刊された本だそうです。史上初の江戸川乱歩賞と直木賞のダブル受賞だということで読了。

内容は程良いミステリーとハードボイルドの融合ということで、なかなかに楽しめました。キャラが立っているのと、台詞まわしなんかが気がきいてたよ。アル中オヤジ(しかもホームレス寸前)を格好よく書けるなんて素敵。でも個人的には、学生闘争のあたりが特に無くても問題ないような気がしたんだけどなあ。なんでだろうか。他の設定に置き換えてもいいような気もした。「シリウスの道」という話にこの登場人物がちらっと出てくるらしいので、機会があったら読んでみよう。

知らなかったのですが、作者の藤原伊織さんは2007年に59歳の若さで亡くなられてました。新しい作品が読めないのは残念ですが、ご冥福をお祈りいたします。