「……すごいもの観ちゃったわ」
映画を観終わった後の第一声がこれ。かなり印象強くて、他の言葉が出てこなかった。
この映画は歌手のCoccoを追ったドキュメンタリーで、先日混んでて観られなかったので行ってきた。「映画」としては評価はできないが(ストーリー性はないし、映像も良いと思えなかった)、しかしCoccoというアーティストを知るのには十分だった。もう彼女に目が釘付けで2時間あっという間だった。
映画は彼女の沖縄米軍基地問題への思いや、青森の六ヶ所村を訪ねた際に感じたことなどを中心につづられていく。ライブでのMCで何度も泣く彼女を見て、とても感受性が強い人で純粋すぎて生きづらいんだろうなあとは思う。しかし、リストカットや拒食症(これは今日知ったんだけど)を経ている彼女が、今一番興味のあることが「”生きて続ける”ということ」というのが個人的に印象深かった。
映画の冒頭で彼女が黒砂糖をかじるシーンがあり、テロップが「この旅のなかで彼女が物を食べるシーンはこれだけだった」と流れる。エンドロールで、彼女が結んだ「辺野古のリボンが焼かれた」という文字のあと、「○年○月 拒食症のため入院」とあった。「生きろ!」と言ってる彼女が、拒食症=生きることを拒否というのが何とも難しい。
もっと色々と思ったり感じたことがあるはずなんだけど、なかなか上手い言葉が見つからない。でもとにかくいろんな意味で「……すごい」と感じたドキュメンタリーでした。