『ナバホへの旅 たましいの風景 / 河合 隼雄』

ナバホへの旅 たましいの風景 ナバホへの旅 たましいの風景
河合 隼雄
朝日新聞社 2002-04
内容(「MARC」データベースより)
静かなブームを呼ぶアメリカ・インディアンの「癒し」の文化。米南西部、ナバホの地を訪れ、メディスンマンとの対話を通じてその深層を明らかにする。現代人の心の悩みを解決するヒントに満ちた探究の旅。『論座』連載。
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アメリカ・インディアンの教えというのは、自然と調和をはかりつつ禅問答的で、ちょっとした憧れがあります。河合先生が書いてたので読んでみた。

最近の「癒し」というキーワードは好きじゃないんだけど(あまりに陳腐に使われすぎる)、良い旅行記でした。河合先生も言ってたように、この本は調査や学術書ではない。でも簡単な旅行記というわけでもない。ナバホの文化に触れつつ、心理療法家としての意見を述べ、「日本人とは」を考える。河合先生はほんと読者に力をいれさせない、リラックスした文章を書くなあ。

メディスンマンの儀式と心理療法での共通項を挙げたり、アルコール依存症に対する(ナバホ族の男性に多いらしい)取り組みを解析したりする点は面白かった。惜しむらくは、もうちょっとナバホの教えを紹介してくれたらなあと思ったけど、そういう目的の本じゃないから、それは無理か。

ナバホといえば、先日読んだ「暗号解読」にも出てくる、コードトーカーが思い出されます。その複雑な文法と発音によりネイティブ以外は習得が困難だという特性により、太平洋戦争で使われたそうな。先住民族ということで、ずいぶんとひどい扱いを受けたことをうっすら知っていても、実際はどういうものか知らなかった。ロングウォークなんて初めて聞いた。

とりあえず、インディアンジュエリーを見て、そのモチーフからアメリカ・インディアの教えがわかるくらいには知りたいと思った。図形はただの図形じゃないんだなあ。