ビッグバン宇宙論 (下) サイモン・シン 青木 薫 新潮社 2006-06-22 内容(「MARC」データベースより) 悠久の過去に生まれた宇宙誕生の証拠を探せ-。古代から20世紀に至る天才たちの知的格闘の歴史、壮大なるドラマを描く科学ノンフィクション。下巻では、ビッグバン宇宙vs定常宇宙の論争、パラダイム・シフトについて収録。 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
やっと読了。いやぁ宇宙の壮大さを感じられた良本でした。
上巻は宇宙は膨張しているという事実発見で終ったんだけど、今度はその観測結果を元に、ビッグバンと定常宇宙の論争について。結果はビッグバンが(今のところ)正しいとされているけれども、それを証明するために銀河の年齢を計算したり、重い元素がどう出来たか考えたり、ビッグバンの最初の頃に起こった”こだま”を捕まえたり、密度のゆらぎを観測したりと、どのようにビッグバン説を後押ししたかという内容。
すごいなあと思うのは、理論を考えてもデータがなければ科学にはならず、観測だけで理論がなくても駄目でその両方があってようやく事実として認識されるということ。ビッグバンが否定されていたころに宇宙創造時の光のこだま(宇宙マイクロ波背景放射)があると予言してて(でも、そのころは測定能力が低く検出されなかった)、それで実際それがあったこと。このCMB放射は最初雑音だと思われてたのだが、それを機器の不具合や周りからの音だと切り捨てずに、発生源を丹念に調べ続けた学者根性が偉い。
ジョディ・フォスター主演の「Contact」という映画を先日テレビで観たんだけど、科学者の彼女はでっかいアンテナの横でヘッドフォンをして宇宙からの音を聴いてたのね。どうしてその雑音みたいな音を拾うんだろうと疑問に思っていたんだけど、宇宙が音をだしているとは!!(彼女は宇宙人を探したくて科学者になってたんだが) 銀河からのメッセージ、なんかロマンだ。
宇宙について考えると地球上のこと、ましてや自分の身の回りのことなんてずいぶん小さなことだと思える、そんな宇宙のでかさが大好きです。
科学で耳にするもっとも胸躍る言葉、新発見の先触れとなるその言葉は、「ヘウレーカ!(私は発見した!)」ではなく「へんだぞ……」だ。
アイザック・アシモフ