『「おたく」の精神史 一九八〇年代論 / 大塚 英志 』

「おたく」の精神史 一九八〇年代論

「おたく」の精神史 一九八〇年代論
大塚 英志
講談社 2004-02-21

内容(「BOOK」データベースより)
ロリコンまんがの誕生、岡田有希子の自死、キャラクター産業の隆盛、都市伝説ブーム、フェミニズムの隘路。現代日本社会の起源を探る試み。
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大塚英志といえば、私にはマダラ・多重人格探偵サイコの原作者としてのイメージが強い。評論もしてるのは知っていたが、読むのは初めて。しかもあの”80年代”についてだなんて。この帯のあおりだけでもその時代を知ってる人には「ああ」という感じじゃないでしょうか。

ニューアカ、ロリコンまんが、フェミニズム、黒木香、糸井重里、新人類、宮崎勤、岡田有希子、都市伝説、UWF

しかし実際は80年代の記憶が途切れ途切れなので、単語がでてきてもイマイチ実感がともなわない。宮崎事件の詳細ってどんなんだっけな?岡田有希子が自殺したのは覚えてるんだけど理由はなんだっけな、という具合。

本の書き方が、すでに知っていること前提で書かれているから、記号のように単語を出されて詳細説明なし。非常に不親切な作りだなと思った。あと精神史というから、80年代のおたくムーブメントを分析してくれるのかと思いきや、自分語りが多かったのでなんだかなという感じ。彼用の時代へのオマージュなんでしょうかね。あと宮崎事件に関わった際の彼の混乱がいまさらながらに書かれてるんだけど、言い訳っぽいので書かなくても良かったのではと思う。しかしいくつかの分析にはふーんと思った点もあった。やはりひとつの時代を経験した人なんだろうな。